正則化Regularization
値が大きくなりすぎないよう罰を科す仕組み
- 正則化は学習中に値が大きくなりすぎたら損害を科す仕組みです。誤差だけでなく値の大きさも見ながら学習します。
- 誤差だけを減らそうとすると一部の値が極端に大きくなり、資料にぴったり合わせたでこぼこの答えができあがります。
- 罰を科すと、モデルは大きな値を使わずに済む方を探します。結果がなめらかになり、新しい資料にもよく通じます。
- 罰の強さは人が決めます。弱すぎると意味がなく、強すぎると学ぶべきことまで学べません。
- 値の範囲をそろえる正規化とは名前が似ているだけで、していることは別物です。
目次
1たとえで理解する
圧力鍋に強い火をかけると、内側の圧力はどんどん上がります。そのままにしておくとふたが持ちこたえられないので、上に重りを一つ乗せておきます。圧力が決まった線まで上がると重りが持ち上がって湯気がすっと抜け、圧力はまた線の下に戻ります。
重りは料理そのものを止めません。火もそのままつけたままで、材料もそのまま煮えます。ただ、圧力が線を越えて跳ね上がろうとするたびに、その分だけ代償を払わせるだけです。おかげで内側はいつも支えられる状態に保たれます。
正則化はこの重りです。学習はそのまま進めますが、値が大きくなろうとするたびに損害を上乗せします。値を大きくして得られる利益がその損害より大きくなければ、モデルはあえて値を大きくしません。重りの重さをいくつにするかは、鍋にかける前にあらかじめ決めておきます。
2くわしく
誤差だけ減らすと値が大きくなります
学習は誤差を下げる方向にだけ動きます。ところが資料にある点の一つひとつを正確に当てようとすると、答えを表す線が点の間を行き来しながら大きく曲がります。こう曲がるには一部の値がとても大きくなければなりません。値が大きいほど、入力が少し変わるだけで結果が大きく振れるからです。
こうしたモデルは学習に使った資料での成績はとても良くなります。けれども初めて見る資料が来ると大きく外します。資料に混じった雑音までそっくり写し取ってしまったからです。過学習と呼ばれる状態がこれです。
値が大きいということは、その値一つに結果が大きく依存しているという意味でもあります。その特徴が少し変わるだけで答えが揺らぎます。だから大きな値は、それ自体が危うい信号なのです。
大きさに罰を科します
正則化は学習が測る損害に項を一つ足します。これまでは「どれだけ間違えたか」だけを見ていたのを、これからは「値がどれだけ大きいか」も一緒に見ます。二つを合わせた値を下げる方向に学習が動きます。
すると、値を大きくして誤差を少し減らすという選択が損害になります。誤差が大きく減る場合にだけ値を大きくし、そうでなければ値を小さいままにする方を選ぶようになります。結果として答えを表す線がなめらかになり、初めて見る資料でも近い成績が出ます。
値を動かす計算にもこの項がそのまま反映されます。一歩ごとに値が少しずつ0に引き寄せられる力が一つ増えるわけです。この方式は重み減衰と呼ばれることもあります。
罰の強さを決めます
重りをどれだけ重くするかは人が決めます。この値が小さすぎると罰があってもないのと同じで、値がそのまま跳ね上がります。逆に大きすぎるとモデルが値を大きくできず、資料にある本当の規則まで見逃します。資料がありきたりな答えしか出さない状態になってしまいます。
ちょうどよい強さは資料の量とモデルの大きさによって変わります。資料が少ないほど覚え込みやすいので罰を強くかけ、資料が十分あれば弱くかけても構いません。実際にはいくつかの強さで試してみて、別に取り分けた資料で成績が一番良い値を選びます。
罰の科し方には二種類あります
値の大きさをどう測るかによって結果が変わります。値を二乗して足す方式は、大きな値に特に重い罰を科します。値は全体的に小さくなりますが0にはならず、複数の値が均等に少しずつ役割を分け合うようになります。
値の大きさをそのまま足す方式は性格が違います。役に立たない値をまるごと0に押し下げてしまうので、実際に使われる値の数そのものが減ります。どの特徴が役に立たないかを見分けたいときはこちらを選びます。二つを混ぜて使うこともあります。
3もう少し正確に
正則化は損失関数に値の大きさを測る項を足し、それを一緒に最小化する方法です。二乗の合計を足す方式をL2、絶対値の合計を足す方式をL1と呼びます。足すときにかける係数が罰の強さで、この値は学習では決まらず、人があらかじめ入れる値です。
広く見れば正則化は、モデルが資料を丸ごと覚えてしまわないようにするあらゆる工夫を指す言葉としても使われます。学習中に一部のつながりを無作為に休ませる方法や、成績が悪くなり始めたら学習を止める方法もこの広い意味に含まれます。ただし狭い意味で正則化と言うときは、普通は値の大きさに罰を科すこの方式を指します。
たとえがずれる点もあります。圧力鍋の重りは決まった線を越えた瞬間にだけ働きますが、罰は値が小さいときも常に少しずつかかっています。越えられない上限が別にあるのではなく、大きくなるほど損害も一緒に大きくなる仕組みです。
4やってみる
5よくある誤解
正則化が値の範囲を0と1の間にそろえるあの正規化と同じだと思われがちですが、実際には値の大きさに罰を科す別の仕組みです。英語でも違う言葉です。
罰を強くかけるほどモデルが丈夫になると考えられがちですが、実際には行き過ぎると学ぶべきことまで学べず、成績も一緒に落ちます。
正則化をかければ過学習が消えると思われがちですが、実際には程度を減らすだけで、資料を増やしたり止め時を見つけたりする方法と一緒に使う必要があります。
7ひとこと要約
つまり正則化は値が大きくなろうとするたびに損害を上乗せする重りであり、モデルが資料を丸ごと写し取らずになめらかな答えを選ぶようにします。
誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02