感情分析Sentiment Analysis
文に表れた語調を良い悪いに分け出すこと
- 感情分析は文に表れた語調を良い・悪い・普通に分け出す作業です。
- 昔の方式は良い言葉と悪い言葉の一覧を置いて数えていました。 今は文を丸ごと読んで判定します。
- 否定語一つ、逆接一つで判定が丸ごとひっくり返ります。単語だけを数えると見落とします。
- 皮肉は表に出た言葉と裏の意味が反対なので、機械が最もよく間違える箇所です。
- 一件の判定より数千件の割合と流れを見るときに真価を発揮します。
目次
1たとえで理解する
週末の家庭菜園に出て畝を一周しながら、株ごとに札を立てるとします。葉が青々として張りがあれば良、先が枯れてしおれていれば悪、先週とあまり変わらなければ普通。土を掘って根を確かめるのではなく、外に表れたものだけを見て決めるのです。
この方法はだいたいよく当たります。百株を一つずつ掘り返す時間がないとき、今週どちらが増えたか一目で分かります。ただし外と中がずれる株が必ず混ざっています。水をやりすぎても足りなくても葉はしおれるので、札だけを見て水をさらに足すとかえって傷めてしまいます。
植えたばかりの苗がぐったりしているのも悪い兆しではなく、根を張っている最中なだけです。前後の事情を知らなければ札が空回りします。
2くわしく
最初は良い言葉と悪い言葉を数えていました
最も古い方式は辞書を一つ作っておくことでした。「素晴らしい」「満足」のような言葉にはプラス点を、「最悪」「失望」のような言葉にはマイナス点を割り当てておき、文に出てきた言葉の点数を全部足して符号を見ました。
作りやすく、なぜそう判定したかも説明しやすいです。問題は言葉が置かれた場所をまったく見ないことです。「安い」は価格の話では褒め言葉ですが、素材の話では欠点です。
今は文を丸ごと読んで判定します。単語の点数を足す代わりに、その言葉がどんな言葉に囲まれているかまで一緒に見ます。同じ「安い」が前後によって違って読まれる理由です。
一言で判定がひっくり返ります
「この値段でこれなら満足です」と「この値段でこれなら満足できません」は文字にすれば数文字の違いですが、意味は正反対です。一覧を数える方式はどちらの文からも「満足」を見つけ、良いほうへ傾きます。
逆接も同じです。「配送は早かったが梱包がひどかった」には称賛と不満が一緒に入っています。後に来る言葉に重みが置かれる日本語の癖まで捉えて初めて正しく判定できます。
文を最後まで読んで前後を見比べる方式に変わってからこの点は大きく良くなりました。それでも文が長く条件が重なると、まだ揺らぎます。
皮肉は表だけを見ても分かりません
「一週間で届きましたね。本当に早いですね」は文字だけ見れば称賛です。この文が不満だと分かるには、一週間が遅いという事実を知る必要があります。文の中にその情報がなければ、機械は称賛として読みます。
冗談、反語、ネットの言い回しも同じ理由でよく間違えます。星一つと一緒に上がった称賛の文が代表例です。そのため実務では星の数や購入の有無のように文の外にある手がかりを一緒に入れて判定を補正します。
日本語には難しい点がもう一つあります。絵文字や語尾、句読点一つで語調が大きく変わり、同じ文でも雰囲気が分かれます。
良い悪いの二つでは足りません
「画面はきれいだけどバッテリーが一日もたない」に札一枚だけを立てると情報が消えます。そこで最近は文全体に一つではなく、話題ごとに別々に判定します。画面は良、バッテリーは悪、というようにです。
語調を良い悪いの軸一つだけで見ないこともあります。怒りと失望はどちらも悪ですが対応が違います。怒った相手には謝罪が、失望した相手には説明が必要だからです。
強さも一緒に見ます。「まあまあですね」と「人生最高です」は同じ良でも重みが違います。判定一つの代わりに度合いを数字で一緒に出す理由です。
一件ではなく流れを見ます
感情分析が本当に役立つ場所は、レビュー一行ではなく数千行が集まったときです。個々の判定が十件に一件くらい外れても、先週に比べて不満の割合が二倍に増えたという信号ははっきり残ります。
だから結果を見るときは、どのレビューが悪かではなく、どの話題の不満がいつから増えたかを見ます。判定が急に揺れる区間があれば、たいてい新しい表現や新しい流行語が入ってきた時期です。
判定基準を変えたなら、以前の結果とそのまま並べて比べてはいけません。基準が変わった日からは別の物差しで測ったことになるからです。
3もう少し正確に
今の感情分析は、たいてい文を意味を含んだ数字の束に変えたあと、その束をもとに良い・悪い・普通のどれに属するかを選ぶ分類問題として解きます。大きな言語モデルにそのまま頼む方式も広く使われています。別途学習させなくてもよく理由まで説明してくれますが、同じ文に毎回同じ答えが出るとは限らず、数千件回すとコストがかかります。
たとえがずれる点もあります。菜園の株の状態は札とは関係なく実際に存在しますが、文の語調には正解が一つに決まっているわけではありません。同じレビューを見て三人が違う札を立てることはよくあります。学習に使う正解表も人が付けたものなので、判定が割れる文はそもそも基準自体が揺れています。そして機械が読んでいるのは心ではなく表現です。内心では怒っていても礼儀正しく書かれた文は良に分類されます。
4やってみる
5よくある誤解
感情分析が人の本当の気持ちを読むと思われがちですが、実際には文に表れた表現だけを見て分類するので、本心とずれることがあります。
肯定的な単語が多ければ肯定的な文だと考えられがちですが、実際には否定語一つや逆接一つで判定が丸ごとひっくり返ります。
判定の正解率が高ければそのまま信じてよいと思われがちですが、実際には皮肉や新しい流行語が多い場所で正解率がぐっと落ちます。
7ひとこと要約
つまり感情分析は文に表れた語調を良いと悪いに分け出す作業で、表の言葉と裏の意味がずれる場所で最もよく間違えます。
誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02