物体追跡Object Tracking

同じ対象に同じ番号を付け続けること

ポイント
  • 物体追跡は場面ごとに見つけたものを前の場面のものとつなげて同じ番号を保つ作業です。
  • 見つけることとつなげることは別の作業です。見つけるだけでは何個通り過ぎたかを数えられません。
  • 少しの間隠れても番号は生きています。次に出てくる場所を見当づけて待ちます。
  • 似たものが重なって通ると番号が入れ替わる事故が起きます。
  • 番号が保たれてこそ、通った道、留まった時間、個数を測れます。
目次

1たとえで理解する

空港で荷物を預けると番号札がひとつ付きます。その番号は荷物がベルトに乗っていくつもの区間を通る間じゅう、ずっと同じ荷物を指します。見た目ではなく番号が荷物をつなげているわけです。

物体追跡もこの番号札を付ける作業です。画面の中で何かを見つけるだけでは足りません。今見つけたこれがさっきのそれかどうかが分かって初めて、何個通ったかを数えられます。

トンネルのように隠れた区間を通ってしばらく見えなくても番号は生きています。どちら側からいつ頃出てくるかを見当づけて待つのです。困るのは似たような黒い鞄が二つ並んで重なって通るときです。抜けたあとに番号が互いに入れ替わってしまうこともあります。

2くわしく

見つけることとつなげることは別の作業です

一場面の中で物を見つける作業は、その場面の中で完結します。四角を三つ描いたからといって、そのうちどれが前の場面のどの四角だったかはどこにも記されていません。場面ごとにばらばらに新しく見つけるだけです。

だから見つける作業だけを並べた画面は不自然に見えます。四角が瞬間ごとに新しく点滅し、少しの間見つからなかった瞬間には丸ごと消えてまた現れます。通り過ぎた人が何人かを数えようとしても、同じ人を三十回数えてしまいます。

追跡はここにもう一枚を重ねます。見つけたものを前の場面のリストと照らし合わせて対にし、対が見つかったものには使っていた番号を、見つからなかったものには新しい番号を与えます。画面の外に出た番号はしばらく待ってから消します。

何を見て対にしますか

対にする手がかりは大きく二つです。ひとつは位置です。ごく短い時間の間には物は遠くまで行けないので、前の場面の位置と重なる、もしくは近いものが同じ対象である可能性が高いです。

もうひとつは見た目です。色や模様のような特徴を短い数字の束として取り出しておき、新しく見つけたものと照らし合わせます。位置だけでは分からない状況で、この手がかりが決め手になります。

二つの手がかりで点数を付けたあとは対にする問題になります。前のリストと新しいリストを並べて、全体の点数がいちばんよくなるよう一気に対を決めます。ひとつずつ近いものから付けていくと、あとに残ったものどうしが絡まってしまうからです。

見えない間も位置を見当づけます

隠れることはいつでも起こります。前の人の後ろを通ったり柱に隠れたりすると、その瞬間見つける作業が失敗します。ここで番号をすぐに消してしまうと、また現れたときに新しい番号が付いて一人が二人と数えられてしまいます。

そこで一瞬消えた番号はしばらく生かしておきます。消える直前の方向と速さを見て「今頃ここにいるはずだ」という位置を動かしながら見当づけます。その近くで似たものが現れたら、もとの番号をまた付けます。

生かしておく時間を長く取れば、長く隠れた対象もつながりますが、すでに消えた番号が見当違いのものに付いてしまうことが起きます。短く取ればその逆です。人が多く行き交う場所かどうかによって、この時間を調節します。

番号が入れ替わる事故

追跡でいちばんよくある失敗は見つけられないことではなく、番号が入れ替わることです。似た二つがすれ違う瞬間、重なっている間は位置でも見た目でも分かれません。抜けたあとに二つの番号が互いに入れ替わって付くと、そこからずっと間違ったまま続きます。

一度入れ替わった番号は自分から戻りません。だからこの失敗は通った道を描いた図や留まった時間の統計をまるごと壊してしまいます。追跡性能を測るとき、どれだけよく見つけたかとは別に番号が何回入れ替わったかを別に数える理由です。

番号が付くと数えられます

番号が保たれた瞬間、できることがぐっと増えます。店に入った人数を数える作業は、番号が一度ずつだけ新しく生まれるよう管理する作業です。どの陳列棚の前にどれくらい長く留まったかは、ひとつの番号がその区域の中にいた時間を足した値です。

通った道を描く作業も番号のおかげです。同じ番号の位置を時間順につなぐと一本の線が出ます。この線を見れば、どちら向きに歩く人が多いか、どこで止まるかが分かります。動作を見分ける作業にも、同じ対象の流れをまとめてくれる役割があります。

3もう少し正確に

複数の対象を同時に追いかける方式は、通常二段階に分かれます。まず各番号の次の位置をこれまでの動きから予測し、そのあと今の場面で見つけたものとひとつずつ対にします。対にする作業は重なる広さと見た目の似ている度合いで費用を付けたあと、全体の費用がいちばん小さくなる組み合わせを選ぶ問題として解きます。性能を測るときは見逃した数と誤って捉えた数に加えて、番号が入れ替わった回数を一緒に数えます。最初の場面で対象をひとつ指定し、それだけを最後まで追いかける方式は別に扱います。

たとえがずれる点もあります。空港の番号札は荷物に物理的に付いていて外れない限り絶対に変わりませんが、追跡の番号は毎瞬間また付け直す見当づけなので、いつでも分かれてしまう可能性があります。荷物は決まったベルトの上しか進みませんが、画面の中の対象はどの方向にも動き、急に止まったり方向を変えたりします。見当づけた位置と実際の位置がずれる瞬間が、そのまま番号が揺らぐ瞬間です。

4やってみる

5よくある誤解

  • 物をよく見つけられれば追跡もうまくいくと思われがちですが、実際には見つけたものを前の場面と対にする段階でほとんどの問題が起きます。

  • 隠れると追跡が途切れると考えられがちですが、実際には見えない間に位置を見当づけておいて、再び現れれば同じ番号をつなげます。

  • 番号が入れ替わっても少しの間なら大丈夫だと思われがちですが、実際には一度入れ替わった番号がそのまま続いてしまい、個数と時間の統計がまるごと狂います。

7ひとこと要約

つまり物体追跡は場面ごとに見つけたものを前の場面とつなげて同じ番号を保つ作業で、この番号があってこそ個数と時間と通った道を測れます。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02