生成AI 入門

バリエーション生成Variation

同じ指示で作る少しずつ違う結果たち

ポイント
  • バリエーション生成は指示はそのままに少しずつ違う結果を何枚も受け取ることです。
  • 結果が分かれるのは指示が違うからではなく、絵を始める出発ノイズが毎回新しく選ばれるからです。
  • 気に入った一枚が出たらその一枚を出発点にしてまた何枚も出せます。どれだけ似せるかはつまみで決めます。
  • 一枚を完璧に当てようとするより何枚も出して選ぶほうがだいたい速く、失敗した一枚も指示のどこを直すべきか教えてくれます。
  • 二つの結果をつなぐ補間、複数枚で同じ対象を保つ一貫性とは目的が違います。
目次

1たとえで理解する

製氷皿に水を入れて凍らせると、区画ごとに氷が一つずつできます。同じ皿から出てきたので大きさも形もだいたい似ています。ところが一つずつ手に取ってみると、気泡の入った場所も、表面が割れた模様も少しずつ違います。

指示文を一行入れて絵を何枚も受け取ることもこれと同じです。皿は指示であり、区画ごとに生まれる小さな違いは凍らせるたびに新しく紛れ込む偶然です。指示を一文字も変えなくても、区画ごとに違う氷が出てきます。

気に入った氷が一つ出たら、その形をもとに新しい皿を作ってもう一度凍らせることもできます。今度は先ほど選んだ氷とより似たものが出てきます。どれだけ似せるかはつまみを回して決めます。

2くわしく

同じ指示から違う絵が出る理由

絵を作る過程は、もやのかかった汚れたノイズから始まります。この出発ノイズは作るたびに新しく選ばれます。選ぶときに使う番号をシードと呼び、シードが変わると出発ノイズがまるごと変わります。

指示はどちらへ進むかの方向を示す役目です。出発点が違えば、同じ方向へ歩いても着く場所が変わります。猫を描いてという頼みは守られても、毛の模様や座り方は毎回違う理由です。

シードを手で固定すると同じ絵をまた呼び出せます。バリエーション生成はその反対で、シードをわざと毎回変えて、きょうだいのような絵を何枚も受け取るほうです。

一枚ではなく何枚も出す理由

頭の中にある絵を数行の文章で正確に移すのは難しいです。光の向きや構図のように言葉にしにくいものが多いからです。何枚かをまとめて受け取っておき、その中から近いものを選べば、言葉にできなかった部分を目で選べます。

気に入らなかった一枚も捨てるだけではありません。四枚すべてが夜の風景で出てきたなら、指示のどこかが暗く読まれたということです。何枚もが同じ方向にずれているなら、それは偶然ではなく指示の問題です。

だから絵を作る道具は、一度押すと二枚や四枚をまとめて出すことが多いです。選ぶことを前提に作られた画面なわけです。

選んだ一枚からまた出す

気に入った絵が出たのに、手の形一つだけが惜しいときがあります。このときはその絵を出発点として入れ、わざと少し崩したうえでもう一度描かせます。崩す度合いがそのまま似せる度合いのつまみです。

少しだけ崩すと、構図と色はそのままで細部だけが変わった絵が出ます。大きく崩すと雰囲気だけが残って別の絵になります。つまみを目一杯上げると元の絵とは何の関係もない結果になるので、少しずつ上げながら合わせるのがよいです。

指示を直すことと何が違うか

指示を直すと目的地そのものが変わります。背景を海辺に変えたり色を指定したりすると、結果はまるごと違う場所に着きます。バリエーション生成は目的地はそのままにして、行く道だけを変える作業です。

だから順番があります。望むものと方向がまったく違うなら指示を直し、方向は合っているのに細部だけが惜しいならバリエーションで何枚も出します。この二つを混ぜて指示をずっといじり続けると、何のおかげで良くなったのかわからなくなります。

補間、一貫性とは分けて考えます

補間は結果を二つ用意して、その間を埋める作業です。出てくるものが一列につながるので前後の順番があります。バリエーションはきょうだいのように横に並ぶだけで、順番はありません。

一貫性は目的がほぼ逆です。何枚も作りながら同じ人物や同じ物が毎回同じように出るよう縛りつける作業だからです。バリエーションを強くかけるほど一貫性は崩れます。物語の絵を作るときに二つを一緒に使う理由です。

3もう少し正確に

バリエーション生成は一つの機能名というより、いくつかの方法をまとめて呼ぶ言葉です。シードだけを変えて作り直す方法、完成した結果を入力として入れて崩す度合いを調整して描き直す方法、潜在空間で結果が置かれた場所の近くを少し揺らして出す方法が、いずれもバリエーションと呼ばれます。道具ごとに呼び名もつまみの名前も違うので、同じ言葉が出てきても画面を見てどの方法を指しているか見当をつける必要があります。

たとえがずれる点もあります。製氷皿の区画は数が決まっていますが、出せる結果は事実上無限です。そして氷の違いは純粋な偶然ですが、絵の違いはでたらめに生まれるわけではありません。指示が許した範囲の中でだけ揺れます。指示を細かく書くほど、バリエーションの幅は自然と狭くなります。つまみを強く回したのに似たような絵しか出ないなら、指示がすでに答えをほぼ決めてしまっている状態です。

4やってみる

5よくある誤解

  • 結果が毎回違うのはAIが不安定だからだと思われがちですが、実際には出発ノイズをわざと新しく選んでいるためで、番号を固定すれば同じ絵がまた出ます。

  • バリエーションを何度も回すとだんだん良くなると思われがちですが、実際には良くなるのではなく横に散らばるだけなので、あるところで選んで止める必要があります。

  • バリエーションで同じ人物を何コマにも使い続けられると思われがちですが、実際にはバリエーションを強くするほど顔が変わるので、一貫性を保つ方法を別に使う必要があります。

7ひとこと要約

つまりバリエーション生成は指示をそのままにして出発ノイズだけを変え、きょうだいのような結果を何枚も受け取っておき、その中から気に入った一枚を選ぶ方式です。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02