畳み込みConvolution
小さな板を動かしながら写真を調べる計算
- 畳み込みは小さな板を写真の上に少しずつ動かしながら、重なった場所ごとに同じ計算を繰り返す方法です。
- 一か所から出てくる結果は数字一つです。その場所にその模様がどれだけはっきりあったかを表します。
- 板を最後まで動かし終えると、元の写真と同じ並びで並んだ表一枚ができあがります。
- 一度に何マスずつ動かすか、端をどう扱うかによって結果の大きさが変わります。
- 写真全体に同じ板一枚を使うので、模様がどこにあっても同じ方法で捉えられます。
目次
1たとえで理解する
受付に分厚い名簿が広げてあり、手元にはマスが九つしかない小さな照合表があります。照合表を名簿の左上の隅に乗せると九マスが重なります。重なったマスで印がいくつ一致するか数え、数字を一つ書き留めます。それから照合表を右へ一マス動かしてまた数え、もう一マス動かしてまた数えます。右端に着いたら一行下りて左から始め直します。
名簿を最後まで調べ終えると、書き留めた数字が名簿と似た形にずらりと並びます。数字が大きい場所は照合表とよく合った場所、小さい場所はあまり合わなかった場所です。名簿全体を一目で判断したことは一度もないのに、どこが引っかかるかが表にそのまま現れます。畳み込みが写真にすることはこれと同じです。
2くわしく
重なった場所だけを数えます
畳み込みは写真全体を一度に見ません。小さな板が覆った分だけを見ます。板が縦横三マスなら、一度に見るのは写真のうち九点だけです。
計算そのものも単純です。重なった点の明るさと板に書かれた値を場所ごとに掛け合わせ、その結果をすべて足します。板に書かれた大きな値の場所に明るい点が来れば合計は大きくなり、ずれていれば合計は小さくなります。こうして出た数字一つが「この場所にその模様がどれだけはっきりあるか」を表す点数になります。
この計算はどの場所でもまったく同じです。左上でも右下でも同じ板、同じ方法です。場所ごとに違う判断をしないという点が、後で大きな得になって返ってきます。
一マスずつ動かして端まで行きます
一か所を数え終えたら板を横に動かします。ふつうは一マスずつ動かすので、さっき見た場所と新しく見る場所がほとんど重なります。こうして重ねながら調べると、模様が二つの場所にまたがっていても見逃しません。
動かすときに何マスずつ動かすかも決められます。一マスずつ動かせば細かく調べられる代わりに結果の表は元の写真とほぼ同じ大きさになり、二マスずつ動かせば調べる回数が半分に減る代わりに結果の表も半分の大きさになります。写真が大きく計算を切り詰めたいときは、大股に動かすこともあります。
板が広いほど一度に見られる範囲も広がります。ただし板をむやみに大きくすると、覚えておく値と計算がいっしょに膨らみます。そのため小さな板で何度も調べるほうを選ぶことが多いです。小さな板を二回重ねて使えば、結局は広い範囲を見ることになりながらも値ははるかに少なくて済みます。
端は別に手当てします
板を写真の内側だけで動かすと問題が一つ生まれます。いちばん端の点は板の真ん中に来る機会がなく計算が薄くなり、結果の表も元の写真より少し小さくなります。写真がいくつもの段を通る間にこの欠けが積み重なると、ふちの情報がどんどん削られていきます。
そこで写真の外側に空のマスを一列巻いてから調べる方法がよく使われます。額縁に余白を巻くのと似ています。こうすると端の点も真ん中に来られるようになり、結果の表の大きさも元の写真と同じに保たれます。巻く余白の幅は板の大きさに合わせて決めることが多く、板が大きいほど余白も広く取ります。
調べ終えると表一枚が残ります
一か所から出た点数一つだけを見ても意味がありません。調べ終わって点数が元の並びのとおりに並んだとき、初めて意味が生まれます。どの場所で模様が引っかかったかが、位置そのままに残るからです。
板を何枚も用意してそれぞれ別に調べると、表もその枚数だけできます。縦線を探す板が作った表、横線を探す板が作った表が別々に積み重なる形です。次の段はこの表の束を新しい写真のように受け取り、また調べます。調べる作業を幾重にも重ねると、だんだん大きな模様を扱えるようになる。これがこの計算が層として積み重なる理由です。板の枚数を増やすほど一度に見つけられる模様の種類も増えますが、その分だけ調べる手間も増えます。
3もう少し正確に
畳み込みは入力値と小さな値の板を場所ごとに掛けて足す計算を、位置を動かしながら繰り返す計算です。一か所の結果は掛け算の合計に基準値を一つ足したあと活性化関数を通って決まります。板に書かれた値は人が決めるのではなく、学習の過程で少しずつ調整されます。
名簿照合のたとえがずれる点もあります。人が名簿を照合するときは合った数を数えますが、畳み込みは値を掛けて足すため結果が負の数になることもあります。模様が逆さまになっていると大きな負の数が出る具合です。また人は一か所ずつ順に調べますが、実際の計算はすべての場所を一度に処理します。順番は結果に何の影響も与えません。
色のある写真では、板は平らな一枚ではなく赤・緑・青の三重をいっぺんに覆う厚みのある塊です。三重を一度に掛けて足して数字一つを出すので、色があっても結果の表はやはり一枚のままです。板の大きさと動かす幅、端の余白の巻き方の組み合わせによって、結果の表の縦横がどれだけになるかが決まります。
4やってみる
5よくある誤解
畳み込みが写真をぼかす処理だと思われがちですが、実際には板に書かれた値しだいでぼけることもふちが際立つこともある、とても幅広い計算です。
板を動かす順番が結果に影響すると見なされがちですが、実際には場所ごとの計算が独立しているので、どこから先に数えても結果は同じです。
畳み込みを通すと写真は小さくなる一方だと思われがちですが、実際には端に余白を巻けば大きさをそのまま保てます。
7ひとこと要約
つまり畳み込みは小さな板を写真の上に少しずつ動かしながら重なった場所ごとに点数を付け、その点数を元の並びのとおりに並べて表一枚を作る計算です。
誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02